合金ナノ粒子は、殆どのケースで複数金属塩を溶融した有機溶媒を長時間過熱する還元反応によって合成が行なわれています。国内では2018年9月に東京工業大学の山本公寿教授が率いる研究チームが発表した6元素、世界では米メリーランド大学が中心となった複数大学による合同研究チームが2018年3月に発表した8元素が合金ナノ粒子合成における最高の元素数であり、これらはいずれもウェット(湿式)、またはウェットプロセスを含む合成手法によるものでした(当社調べ)。

当社は、2018年12月までに完全ドライプロセスによる「複合ドライプラズマ法(注1)」を独自に新しく開発し、これまでに多数の合金ナノ粒子の合成実験を積み重ねて参りました。2種類の金属元素から開始し、2019年1月には8元素、2月には10元素による合金ナノ粒子の合成に成功しておりましたが、この度、11種類の金属元素による合金ナノ粒子の合成に成功致しました。
開発した「複合ドライプラズマ法(注1)」では、使用する複合ターゲットの構成を変更することで、理論上は合金ナノ粒子の合成元素数を更に増やしていくことが可能となっています。今後、20元素を次の目標として、引き続き合金ナノ粒子の合成を行って参ります。

合成された多元素合金ナノ粒子ついては、当社自身での実用化を含めて、大学や研究機関、民間企業との連携によって、各種の実用化アプリケーションへの応用を模索していきます。 
次の段階では、合成可能となった様々な合金ナノ粒子の機能と性能の検証を進めていく予定です。

注1) 複合ドライプラズマ法
 株式会社ナノアロイテクノロジーが2018年に独自に開発した、世界初となる複合ターゲットを用いた合金または化合物のナノ粒子、およびナノ被膜を合成する方法で、以下の主要な特徴を有します。

1) 完全ドライプロセスで完結している
2) 合成時に必要となる条件は、低真空の保持だけである
3) 複合ターゲットを準備する以外には、前処理や後処理や廃液処理が不要である
4) 合金または化合物ナノ粒子を数秒から数十秒の時間で合成することができる
5) 有機溶媒に溶かすための有機化合物からスタートする必要がない
6) 合成する際に用いる元素の種類と数には、制約が殆どない
7) 合成されたナノ粒子径の均一性が高く、サイズ選択等の必要性がない
8) 金属を含めて、担体への直接担持が可能である
9) 合成装置は卓上の小型装置から構成することができる

 株式会社ナノアロイテクノロジーでは、本合成方法についての基本特許を国際出願しています。

図1-1、図1-2)
TEM(透過型電子顕微鏡)によるEDS(エネルギー分散型X線分析)解析結果

写真1)
TEM(透過型電子顕微鏡)による多元素合金ナノ粒子画像

新潟県長岡市新産2丁目7番地7
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2019年4月5日
世界記録となる、11元素による多元素合金ナノ粒子合成に成功
〜粒径5nm以下の多元素合金ナノ粒子を安定して合成する完全ドライプロセスを確立〜
株式会社ナノアロイテクノロジーは、独自に新しく開発した完全ドライ(乾式)プロセスの合成手法「複合ドライプラズマ法(注1)」を用いて、11元素からなる合金ナノ粒子を合成することに成功致しました。
今回合成した合金ナノ粒子には以下の金属元素が含まれています(図1)。
Pt, Pd, Ag, Fe, Ni, Cr, Cu, Zn, Mo, W, Ta
また、合成された合金ナノ粒子の平均粒径は1.5nm程となっています(写真1)が、別の実験では全体の粒子径が1nm以下となる合金サブナノ粒子の合成も確認されています。